「実業之富山」について

「実業之富山」は昭和21年11月、終戦後の混乱の中で地域の振興と経済復興を願う立場から創刊されました。以来、1号も休刊することなく平成28年に70周年を迎えました。

全国でも類のないユニークな地域経済誌

「実業之富山」は県単位で地域経済をとらえる月刊誌です。戦後、類似誌は数多くありましたが、今日まで1号も休刊することなく継続して刊行しているものは「実業之富山」以外に見当たりません。特定の企業、団体に依存することなく、70年にわたって雑誌を発行することができたのは、ひとえに読者の皆さまのご支援の賜物と深く感謝しています。
 雑誌の刊行自体はそれほどむずかしいものではありません。伝えたいテーマがあり、読者がいれば、雑誌は成立します。むずかしいのは継続です。出版の意欲をもちつづけ、常に内容の刷新をはかっていくことの困難さは、多くの雑誌が数号あるいは数年のうちに休刊や廃刊に追い込まれていくのを見れば明らかです。
 まして地方での雑誌刊行には高いハードルがあります。読者層が地域に限定されること、また資金とスタッフが十分でないという点も克服していかねばなりません。それでも富山にこだわって雑誌を発行するのは、中央発の情報に流されていては地域の活性化はできないと考えるからです。「実業之富山」はこれからも地域経済を深く理解し、郷土の発展に役立つ雑誌でありたいと考えています。

オリジナルな情報へのこだわり

「実業之富山」は独自の視点と一次情報にこだわります。単なる情報紹介にとどまることなく、自らの問題意識に基づいて情報を収集し、テーマを設定しています。多くのスタッフをかかえる新聞社や出版社のように網羅的に取材することはできなくても、これまでの蓄積を生かしながら、地道な取材活動を続けています。
 インターネットが身近なメディアとなった今日、情報はいつでも、どこでも入手できるようになりましたが、真にオリジナルな情報は現場にしか存在しません。だからこそ私たちは企業のトップに会い、ものづくりや研究開発の現場に足を運ぶことを重視しています。
 地域には魅力的な人材や資源が埋もれています。磨けば光るような原石をいちはやく見つけ、積極的に紹介していくことも「実業之富山」の重要な使命です。

富山を核としたネットワークづくり

「実業之富山」の原点には、ふるさと富山を愛し、富山をよくしようという思いがあります。しかし、単なる仲間意識やふるさと路線にとどまっていては真の意味での発展は期待できません。そのため、私たちは富山在住の人や企業のみならず、富山となんらかのかかわりがある人、富山に関心をもつ人を含めた幅広い層にアプローチしています。
 これまでインタビュー・対談などを通して、中央で活躍する数多くの著名人と接してきました。各界のリーダーが語る地域活性化策や富山論は示唆に富んでいます。内にいると見えてこない富山のよさが外の目を通して自覚されるようになり、問題点も明確になりました。一方で、富山に対してより多くの人に関心をもってもらうきっかけにもなりました。
 内側からの人材・資源・技術の発掘と、外側からの視点・情報。これらを有機的に結びつけ、ネットワーク化していきたいと考えています。

地方の出版文化の一翼を担う

 出版事業の東京一極化が進み、地方での出版はますます困難になってきています。読者層、スタッフ、制作ノウハウなどの面でどうしてもハンディがあるからです。しかし、地域には掘り下げるべきテーマが無尽蔵にあります。そういうものは中央にいると見えてきません。地域に固有の文化や伝統がどんどん失われつつある現代にこそ、地方出版の存在意義と役割があります。
「実業之富山」は地域づくりの視点を誌面に反映しつつ、月刊雑誌を発行しつづけることで地域文化の一翼を担ってきました。地元企業、読者をはじめ、富山に関心をもつすべての人に支えられ、69年の歴史を歩んできました。私たちはこれからも富山に根を下ろし、地域文化に貢献できる雑誌づくりを目指していきます。