1951年春季増刊号
県内で開かれた戦後初の本格的な博覧会が高岡産業博覧会である。高岡産業博覧会の開催にあわせて実業之富山社は増刊号を発行し、北陸銀行調査課の協力により「富山県下産業概観」をまとめた。
実業之富山アーカイブ
戦後の復興気分を盛り上げたのが博覧会である。富山県内では1951年に高岡市で「高岡産業博覧会」が、3年後の1954年には富山市で「富山産業大博覧会」が開かれ、県民に希望と活力を与えた。「実業之富山」は、力強く発展への道をあゆむ県内の産業の状況を特集号や別冊で伝えた。
県内で開かれた戦後初の本格的な博覧会が高岡産業博覧会である。高岡産業博覧会の開催にあわせて実業之富山社は増刊号を発行し、北陸銀行調査課の協力により「富山県下産業概観」をまとめた。
県内の主要工場として繊維工業17、金属工業7、肥料工業7、ビニール工業5、化学工業3、紙及びパルプ工業6、特殊工業7の計48工場(一部重複あり)の位置が地図上に記されている。工場数でみても、当時のメインは繊維工業であった。
(上)富山港付近工場地帯
(下)伏木港付近工場地帯
高岡産業博覧会は高岡古城公園を会場に1951年4月5日〜5月25日まで50日間にわたって開かれた。30余の展示館では、県産業の基盤である電気・電力に関する展示を中心に、テレビをはじめとする最新の技術や製品、農業機械などが紹介された。桜の時期と重なり、さまざまな演劇・演芸が催されたこともあって、押すな押すなの盛況だったという。
富山産業大博覧会は1954年4月11日から6月4日まで約2カ月間にわたり富山城址公園と魚津水族館を会場として開催された。空襲で壊滅に近い大惨禍をうけた富山市は戦前を凌駕する復興ぶりで、この博覧会にあわせて富山市庁舎や富山市公会堂が新築されるなど、面目を一新した。「実業之富山」特集号では県内産業の概況と各社の現況を詳細に伝えた。
上から順に、呉羽紡績庄川工場、倉敷レイヨン富山工場、北陸電力神通第二発電所、日本高周波富山工場、日産化学工業富山工場。
注目すべき県産品として、YKKファスナー、高岡の捺染、富山のくすり、高岡銅器、プラスチック製品、医薬品容器を紹介している。
産業別に富山県と近県の生産量をグラフで表し、当時の富山の位置付けをわかりやすく示している。